【ネタバレに配慮せず書いています。】
こんにちは、ゆきの(@2001senpea)です。
今回はAmazonプライムで映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を観たので、その感想をお伝えします。
刺激の強い映像が苦手なわたしにちょうど良い、静かな映画でした。
わたしのように、穏やかな映画が好きな方、和風な気分になりたい方にお勧めです。
この映画が気になっているなら、ぜひ観てほしいなと思います。
なぜ観ることにしたのか
以前「おすすめ小説5選」の記事で「ほのぼの・ほっこり、嫌な気分にならない小説が好き」と書きました。
小説と同じように映画も、嫌な気分にならないもの、刺激的な映像が少ないものが好きです。
わたしは小説や映画から影響を受け過ぎることがあります。
不快なシーンを観ると、かなり長期間それを覚えていて、何度も思い出してしまうのです。
若いころは平気だと思っていたのですが、年を重ねてきたら、どうやら気持ち的によろしくない、とわかってきました。
特に映画は、映像や音で記憶がしっかり残るので、注意が必要。
小説同様ほのぼの・ほっこり系か、何も起こらない系の映画を選んで観ています。
そんなわたしのことをよくわかっている夫。
今回の「日日是好日」は、夫がAmazonプライムで見つけて「好きそうじゃない?」とオススメしてくれました。
夫は、わたしが好きな感じの映画は好みではないので、一人で鑑賞です。
あらすじ
二十歳の春、大学生の典子は母の勧めで週に一度お茶の稽古に通い始める。従姉妹の美智子を伴い向かった武田先生の茶室で、初めて目にする作法に戸惑うばかり。どんなことにも理由を求め、頭の中は疑問だらけの典子に「意味なんてわからなくていい。『お茶』はまず形から」と武田先生は説くのだった。やがて就職、結婚で美智子が去り、就職に失敗した典子はアルバイトをしながら、ひとりお茶の稽古に通い続ける。
(引用「映画の時間」ホームページより)
主人公典子の20歳から40代まで、約25年の月日を描いた作品です。
女性のこの25年って、気持ちも揺れ動くし、環境も変わる。
誰しも、自分の就職・恋愛・結婚・出産・子育て、年を取っていく両親、友人や兄弟姉妹との関係の変化など様々なことに直面します。
20歳で想像していたように、自分の人生は進んでいかない。
でも、その25年の間、主人公の傍(かたわ)らにはずっと茶道があった。
週に一度の変わらぬお茶のお稽古と、気持ちも環境も変わり続ける女性の人生。
変わらないものがあるって、その時はわからなくても、後々その大切さが身にしみるよね、と40代のわたしは思いました。
この映画に登場する男性は、主人公の父と弟のみ。
あとは全部女性です。
女性に観てほしい映画だな、と思いました。
知識って重要
わたしが観終えて最初に思ったのは「知識があれば、もっと深く楽しめたかもしれない」でした。
思い出したのは、じゅんさんのブログ「旧暦ホテルー古くて新しい暦と暮らすー」です。(更新は今はお休み中)
1年間、旧暦を楽しんでいたじゅんさんなら、この映画をもっと色々な角度から楽しく観たのでは?と思ったのです。
旧暦や茶道の知識はもちろんですが、着物や和菓子のことなど知っていたら、楽しみ方が倍増するだろうな、と。
深くしっかり知らなくても、今よりもう少し知っていたら……そう思いました。
今、たいていのことは、インターネットで簡単に検索できる時代です。
茶道のことも旧暦のことも、調べようと思えば、すぐに調べ、知ることができます。
でも「うっすらとでも、頭の片隅に残っていて、知っていること」と「検索しないとわからないこと」の間には、大きな隔(へだ)たりがある。
そのことを改めて痛感しました。
たくさんの知識をしっかり蓄えた博識な人を目指すのは難しいですが、知識があると楽しみ方が増えるということは、心に留めておきたいな、と思いました。
「型」への憧れ
茶道・華道・剣道など「◯◯道」に対して、ちょっと憧れがあります。
なんだか「ピシッ!」と一本筋(すじ)が通っている感じがして、こちらの背筋まで伸びる気がします。
映画の中で、お茶の先生が
「お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、その入れ物に後から『心』をいれるもの」
とお稽古初心者の主人公たちに伝えます。
「形式主義じゃないか?」と反論する主人公の従姉に
「なんでも頭で考えるからそう思うのねえ」
と先生は答えます。
それを聞いて「あぁ、わたしは、そういうところに憧れていたんだ」と思いました。
わたしもまさに「頭で考える」タイプ。
もし◯◯道をはじめたら「なんでここはこうやるの?」とか「なぜこういう型で行うようになったんだ?」とか色々考えてしまいそう。
頭で覚えて体を動かすのではなく、自然に体が動くくらい「形」を自分にしみこませ、そうなった先に心が入る時期が来る。
頭で考えがちなわたしは、こういう体で先に覚えるという世界に、憧れがあるんだな、と。
◯◯道をはじめてみたい気持ちは今もあります。
40代ではじめるなんて遅すぎ、という気持ちもあるのですが、人生100年時代と言われる現代。
100歳まで生きたなら、今からはじめても50年以上はある。
もし良いタイミングがあれば、形を先に作る「道」がつくことをはじめてみたいです。
感性がもっと豊かだったなら……
最後に、この作品を通してずっと思ったこと。
それは「主人公のように感性が豊かだったらな~」です。
主人公が掛け軸を見つめ、その書から、滝の冷たいしぶきや、滝つぼに水が落下するお腹に響くような音など、滝がまるでそこにあるかのように感じ取るシーンがあります。
それを見て「わたし絶対感じ取れない」と思いました。
そういうのが本当に苦手。
絵画や書など、本物を感じ取る能力がないのです。
「知識って重要」や「頭で先に考えるタイプ」と先ほど書いたように、「感じる」より「知る」が先に来てしまう。
作成者の人物像や描かれた背景などには興味があります。
例えば美術館で絵画を観ているとき、絵そのものより、横に書かれた解説に目が行ってしまうのです。
作品そのものを感じるというのが、よくわからない。
「本物」に触れていないからなのか、わたしの資質の問題なのか、わかりません。
とにかく芸術を「感じ取る」能力が低い。
そんなわたしなので、主人公が掛け軸から滝そのものを思い描けているシーンが、特に印象的でした。
映画基本情報
タイトル:日日是好日
公開日:2018年10月13日
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣
原作:森下典子
出演:黒木華 樹木希林 多部未華子 鶴見辰吾 鶴田真由
公式サイト:https://www.nichinichimovie.jp/
おわりに
四季のある日本で暮らしていることをもっと楽しめたらな、とも思いました。
現実には、四季の移ろいを丁寧に楽しむ暮らしは、わたしにはハードルが高い……。
季節ごとにあれこれ飾ったり、二十四節気を気にかけたり、年中行事を楽しむことを生活に組み込むなど、ステキだなと思うのですが、大変さが先に立ってしまう。
でも家の中の小さな小さな場所一つだけでも、日本や季節や年中行事を意識した部分を作れたら……。
面倒くさい病のわたしでも、そう思えた映画でした。
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